先月のことですが、数日後にアメリカに赴任されるご家族が、忙しい合間を縫って、一家三人で施術を受けに来てくださいました。
玄関を開けて、出迎えて、まずお子さんの女の子の成長に驚きました。
一年ぶりにお目にかかった今は2歳だそうで、本当によくしゃべって、楽しそうに動き回る(笑)
ボディワーク用の小さなゴムボールをいくつか何色か用意しておいたら、気に入ってもらえたようです。
数人のお子さんを継続してみさせていただいていますが、乳児から幼児への成長が、個人的には一番感慨深いですね(^-^)
お母さんへの施術
まずは、右肩の痛みを訴える、お母さんの施術です。
上肢の各関節、さらに左右のバランスを取った後、残った痛みのある場所の緊張がどこから始まっているかたどります。
すると行き着くのは、右上あごの犬歯~奥歯の根っこ辺り。
聞くと、随分前の歯科治療後から違和感があった場所のようで、そこに残っている治療による物理的な圧迫を解放します。
起き上がって、首を回したり、肩を動かしても、「痛くない!動く!」とおっしゃいます。
それからは頭蓋骨全体のバランスを取り、骨盤と背骨、下肢も調整して立っていただきます。
見ると、身体全体の重心位置がまだ高い(仙骨二番の前にあるのが一つの理想です)。
そこで上半身にある重心を下げた後、頭の重心を使って動けるようにボディワークをします。
体重がしっかりと床に載り、安定して歩けているところで終了です。
お子さんへの施術
次は、少しずつおとなしくなってきた、女の子の番です(笑)
一年前にもみさせていただいたのですが、その時には怖がられて触れさせてもらえず…(-_-;)
当時「人見知りが強い」とはお聞きしていたものの、原因は自分の力不足でした。
おかげさまで、自分の技術以外の部分、在り方も見直すきっかけになりました m(_ _)m
話を戻して、女の子の歩く様子を見させてもらうところからです。
ご両親から聞いていたとおり、左足をはっきりと「ひきずって」歩いています。
片足立ちをしてもらっても、右足ではしっかり安定するのに、左足だとグラグラで立てません。
そして、座ったお父さんと向かい合うようにだっこしてもらって、施術開始。
背骨に軽く触れさせてもらうと、腰椎は左斜め後ろに向かって出っぱっていて、そこから上もそれに合わせるようにしてかなりアンバランスです。
今度は軽く押していくと、大人の背骨のように、とても強くて硬い反発があります。
お子さんの身体のこの種の抵抗は、筋肉や内臓ではなく、骨からのものであることが多いように思います。
この「歪み」を身体が動くために必要とさせているのは、どこにあるのか。
身体のどこかと帳尻を合わせるために、次善の策としてこのようなバランスをとっているはずです。
まず背骨で一番気になった腰椎の反応をみると、ビシッと止まって動かず…。
そこで骨盤の左の関節(仙腸関節)を調整すると、スルッと関節が動いて、背骨に動きが出てきます。
そこから腰椎、胸椎まで調整していくと、あんなに固かった背骨が年齢相応に柔軟になってきました。
歩いてもらうと、まだ左足を回すように動かしている様子。
今度は、こちらを向いて座ってもらい、左足を調整します。
一分ほど触れていると、膝から下が、一瞬グリンと大きく回って、左足がまっすぐに!
股関節も、左右ほぼ揃っています。
お子さんの身体の反応は、本当にすごい…。
毎回驚かされます。
また歩いてもらいますが、まだ左足で床を踏み込めていない。
今度は正面から頭を触れさせてもらって…、みつけました。
本来、頭蓋骨には、身体の液体の還流や呼吸の動きにあわせ、全体としてわずかに膨張・収縮するのですが、それがほぼない…。
特に、下の図で緑の骨と紫の骨のつなぎ目、赤の骨と紫の骨のつなぎ目で、それぞれラムダ縫合、後頭乳突縫合と呼ばれる場所です(今回は左側)。
頭部全体を包み込むようにもって、五分くらいかかったでしょうか、後頭部のくっついたように硬かった縫合がフッと開いて、頭部が一瞬大きく膨らみ、女の子は軽く身震いします。
チェックしても、頭部の中心を支点とした動きになっています。
立ってもらうと、そのせいか、重心がまだ高い。
そのまま腹部や骨盤底をささっと調整して、ようやく重心が下りてきました。
歩いてもらうと、今度は、左右の足の動き、背骨・骨盤の動きの差がほとんど見られません。
左足での片足立ちも、右のように安定しているので、施術はここまで。
時間にして、合計20分くらいでしょうか。
やっぱり、お子さんの身体の反応は本当に早いですね。
ご両親からは、女の子が、「家族以外の人がいると怖がって両親にしがみついていたり、夜も遅くまでむずがって起きていたりして、困っている」とお聞きしていました。
しかし、頭部にこれだけの緊張をもっていたら、それももっともだと思います。
そのさらに原因がいったい何だったのか、出産時にへその緒が身体に巻き付いていたそうですが、いろいろ推測できても、実際の所はわかりません。
ただ後頭部の骨と骨盤の動きは連動しますので、結果として左足の動きに大きく影響していたようです。
施術が終わって別れ際、最後に小さな頭で深くおじぎしてくれました。
私もおかげさまで施術後には逆に元気になりましたので、「こちらこそ、ありがとうございました」とお見送りしました m(_ _)m
年一回はご一家で帰国されるそうなので、また皆さんにお会いできるのが楽しみです。
お子さんにもう少し早く対処してあげられなかったのは悔やまれますが…、ご家族の新天地でのさらなる健康と、いっそうの幸せな生活を願うばかりです。
お父さんへの施術
…は、ここまででかなり長くなったので、別の機会に追記します m(_ _)m